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2018.12.19

TECH BLOG

教えて!シュガーさん(2)|デザイナーを活かす13のマネジメントヒント


「技術者のマネジメント」に関する関心が高まっています。

数多くのデザイナーを見てきたサイバーエージェント執行役員 兼 クリエイティブ統括室 室長 佐藤洋介氏(通称:シュガーさん)を取材、デザイナーが活き活きと働く環境作りや、モチベーションコントロールのコツなど、今デザイナーをマネジメントする立場にある人に向けた、マネジメントのヒントをいただきました。

ここに取り上げた13のヒントは、絶対ではありませんが、マネジメントにおいて役立つものばかり。デザイナーに限らず、応用できるものもあるかもしれません。


組織・文化・環境づくり


【1】ヒエラルキーを明確にする

デザイナーは、自分と他者のアウトプットが人の目に触れ、比較される場面があるとより奮起し、切磋琢磨する方が多いです。

技能的ヒエラルキーが明確になると、組織に自然とまとまりが生まれ、組織全体の成長にも繋がります。

 

【2】本当は目立ちたい!ドヤれる機会を用意する

デザイナーは、人前に立つのが苦手なものの、承認欲求が高いタイプが多いです。だから、彼らが自らのアウトプットを披露できる機会を設けることが重要だと思います。

自分のアウトプットをみんなに認められたい、いいデザイン提案をして、歓声で湧かせたい。だから「いいね、これ!」のひと言で内心ガッツポーズですし、また次の制作へのモチベーションに繋がります。

【3】事業責任者を巻き込み、デザイナーを板挟みから救う

事業部所属のデザイナーの場合、板挟みの立場に立たざるを得ないケースがあります。

そこにデザインディレクションをする際、デザイナーだけを呼んで伝えても「(既に上から下から言われているのに)今度は”斜め”から言われて、俺はどうしたらいいんだよ!」と身動きが取れなくなってしまいます。

ですから、その場に事業責任者も一緒に呼んで、巻き込んであげることが大事なのです。

成長ポイントの作り方


【4】実務以外の腕試しも積極的にトライさせる

デザイナーは生来、アウトプットしたい生き物です。

業務以外の制作に一切時間を割けないとなると、本人の制作意欲に制限をかけることになり、作風の幅も広げられないですし、会社としてももったいない。だから実務以外の腕試しは積極的にするべきです。

ところが縦割りが強い組織だと、デザイナー稼働が「うちの事業部のリソース」という感覚になりがちで、実務以外の作業時間に対する反発も生まれてきます。

ビジネス側の思いと板挟みになりながらも、それを言い訳にせずやるデザイナーは評価すべきですし、自らうまく落とし所を見つけられるというのが、まさにデザイナーの能力だと思います。

ただ、そこがまだ器用にできない若手デザイナーには、周囲のサポートも大切です。当然出てくる反発に対し、減る分のリソースの補填を打診するなど、旗振り役が折れずに丁寧にコミュニケーションを重ねていけば、信頼関係を作ることができます。

 

【5】自社の看板を背負っていることに誇りを持てる事例を作る

自社のクリエイターであることを、誇りに思える状態にすることが、マネジメントとしての最終的ゴールです。

自分たちのプロダクトが世に出て、広く知られてくると、同時に彼らの自信もついてきます。そのために、会社の看板を背負って人の目に触れるものを作っている、という責任の重大さを感じられるような事例をコツコツ作っていくことが肝要です。

【6】“資料なしプレゼン” で寡黙なデザイナーを喋らせる

デザイナーは、積極的に発言できるタイプと、そうでないタイプがいます。どちらが良いということではありません。

プロデューサーとデザイナーが組んでプレゼンに臨む場合など、話が得意なプロデューサーが率先して話してしまうため、後者のタイプは余計に発言できなくなります。

文字情報などの資料なしで、デザインアウトプットのみで行うプレゼンにすると、細かい部分の意図など、自ずとデザイナーが説明せざるを得なくなるため、寡黙なデザイナーも喋り始めます。

 

【7】経営を理解させるとデザインの精度は上がる

デザイナーが経営を無視したアイディアを提案すれば、それは当てずっぽうの提案になってしまいます。経営側の目線を先回りした提案であれば、案の精度は高まります。

例えば、サイトのリニューアル。ちゃんと経営の事情が分かっていれば、実施する適正なタイミングが自ずとわかります。

理解に及ばないまでも、経営の動きを意識できるだけでもいいのです。経営とデザイナーは立ち位置は違いますが、目線の方向を揃えることはできます。そうすることによって良い関係性を作ることができます。

デザイナーのモチベーションを下げる言動


【8】「ちゃちゃっと」「テキトーに」は禁句

デザイナーに仕事を依頼する時に「ちゃちゃっと」「テキトー」など、デザインを「軽い作業」のように扱っていると取られかねない表現はNGです。

デザイナーは中途半端なものは見せたがりません。どんな依頼であれ、依頼を受けた以上根詰めて頭を捻って、作り込んできます。

「デザインをするということがどういうことか」を理解した上でのコミュニケーションと、依頼するデザインの目的などをしっかり言語化して伝えることが重要です。

 

【9】「履きかけのパンツ」は絶対、見ないで!

一見些細なことですが、デザイナーにとっては座席への配慮もとても重要です。僕は人が頻繁に通るところには、絶対デザイナーの席を作りません。

デザイナーは、制作途中のデザインを見られることを嫌がる方が多いです。制作プロセスの中で、パーツを一瞬避けたり、背景色を一時的に変えたり、絶えず確認作業や試行錯誤を繰り返します。

僕はその不完全な途中段階のことを「履きかけのパンツ」と表現しているのですが(笑)、往来の多いところで作業するデザイナーは、常にその「履きかけのパンツ姿」を見られる恥ずかしさにさらされているようなものなのです。

だからたまたま通りかかったタイミングで見た「不完全な瞬間」を捕まえてジャッジされたりすると、“ちゃんとパンツを履いた後に見てくれよ!(泣)” という気持ちになりますね。

 

【10】作業時間はなるべく寸断しない。モードの切り替えには30分必要

デザイナーは、集中モードに入るにも、そこから出るにも30分必要なんです。だから、作業中にミーティングが差し込まれると、それが長かろうと短かろうと、その前後30分はアイドリング状態になります。

集中タイムが、可能な限り連続的にとれるスケジュールになると、高いパフォーマンスが維持できるでしょう。

 

コミュニケーション・評価のコツ


【11】デザイナーのマネジメントはデザイナーであるべき

デザイナーのマネジメントは、デザイナーであるべきーーつまりクオリティの指針などの評価軸を持てる人間であることが大事です。

デザイナーは事業評価だけに偏ってはダメで、アウトプットのクオリティも評価しなければ意味がありません。また、デザイナーとして尊敬している人のマネジメントの方が、ついていきやすいと思っています。

 

【12】フィードバックは「感想」ではなくて「批評」であるべき

デザイナーの仕事に対して、フィードバックは必須です。厳しいかどうかは関係なく、的確にポイントを押さえた内容を返していれば、しだいに信頼を貯めていくことができます。

フィードバックが批評でなく、感想に終わっていては、どんなデザイナーもついてきません。瞬時に的確に判断する力量は、世の中のデザインをいかに知っているかにかかっています。

だから、マネジメント側も、常に新しいアプリを使ったり、サイトをチェックしたりインプットはとても大事です。

 

【13】一番大事なのは信頼関係

何より大事なのは信頼関係です。それが出来上がる前に、力で動かそうとしたり、厳しい判断や指示を伝えても、うまくいきません。

逆に、信頼関係が確立していれば、強めのコメントであっても受け止めてくれます。

総括:

たくさん、事例を交えてお話しを伺いましたが、ベースにあるのは実にシンプルなお約束ごとーーデザイナーとして自分がされたら嬉しいこと、嫌なことを理解してあげるーーテクニックなどではなく、人と人のコミュニケーションの本質の部分を、大切にする、ということかもしれません。

見られたくないけど、ある時には見られたい。人前に立ちたくないけど、目立ちたいーーーそういうデザイナー特有のアンビバレントな性質に敏感に気づいて、理解すること。優しさに根付いた観察眼があれば、きっとうまくやっていけるのではないでしょうか。

語る佐藤氏の目線はあくまでもまっすぐ。その佇まいからも「ちゃんと向き合う」ことの重要性を学ばせていただきました。


( クリエイティブ広報 桑田 )